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上手に合理的配慮の提供を受けよう Edit



最近いろんな場面で「合理的配慮」という言葉を聞くようになった。障害者差別解消法の8条の2には、
事業者は、その事業を行うに当たり、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、当該障害者の性別、年齢及び障害の状態に応じて、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮をするように努めなければならない、
このように規定されていて、合理的配慮の提供が努力義務となっている。


合理的配慮の提供を受けたい場合には、
障害者が

  • どんなことに困っていて
  • どういう風に改善してほしいか
    を明確にして伝える必要がある。
    多くの場面で合理的配慮が既になされており、障害者の社会参加も近年急激に進んでいる。
    それでも、障害者が健常者に合理的配慮を求めなければならない場面は多くある。
    そのときに、しっかりと主張すべきは主張して、気持ちよく話し合い、合理的配慮の提供を受けられるように、心がけたいこともある。

障害者としてやってはいけないこと Edit



まず、大前提として、合理的配慮はあくまでお願いして提供してもらうということ。黙っていて明らかに見て困っているとわかる場面でも、助けが必要な旨を周囲に知らせる必要がある。
更に、希望する100%の内容が提供されるわけではないということ。店舗スタッフや道路上にいる人などは、できることに限りがあり、そのできる範囲を超えることは過重となって合理的配慮の提供を断ることができる。
そして、その場面で必要な最小限度のお願いであること。その困りごとがこうなれば便利でいいという範囲ではなく、どうしてもそれをするために必要な範囲で、自分も可能な限り歩み寄ることも求められている。


内閣府の「合理的配慮の提供等事例集」には、

  • 器物破損や暴言、誹謗中傷がある場合は断っていい
  • その障害に必要でない申出は断っていい
  • 合理的でないものや過重な負担があるものは断っていい
    と書かれている。
    ここに挙げるものがいつでもそう判断されるということでもないが、過重な負担の例として、
  • 視覚障害者が膨大な分量の資料の全文読み上げを求めた
  • 聴覚障害者が筆談で十分対応できる簡潔なやり取りに手話通訳者の派遣を求めた
  • 発達障害者の付き添いの人が必要性がないのに買物中は常に店員が同行することを求めた
  • 肢体障害者が個人的な外出予定に沿うよう公共交通機関の時間変更を求めた
  • 精神障害者が否定されるとストレスで症状が悪化してしまうからと過度な要望であっても否定せずに実行することを求めた
    のような例が挙げられている。
    過度な負担については、まだ十分に整理されていないが、上の大前提を守っていれば概ね過度にはならないことが、この事例集に書かれている。

健常者が注意したい点 Edit


障害者が差別を受けたと感じたり合理的配慮が不十分だと感じても、
合理的にかつ客観的にその場面でできる最良であることを、障害者に自信を持って説明できるなら、
差別的な取り扱いや合理的配慮の不提供にはあたらないとされている。
しかし次のような理由では合理的かつ客観的とは言えず、
合理的配慮の不提供となり、差別的取り扱いと認められることになるので、
このような理由は障害者の利用を遠慮してもらう場合には使えないと覚えておきたい。

  • 先例がないので
  • 特別扱いできません
  • 万が一のときには
  • あなたの障害の種類では
    「先例がない」「万が一のときに」、これは今までに障害者来たことないし、この人受け入れたらまた面倒増えるしと、差別的取り扱いとなり得るし、
    「特別扱いできない」「あなたの障害の種類では」というのは、最大限その人がサービスや施設を気持ちよく利用できるように、合理的配慮を提供する努力を怠ったということになる。
    基本的に障碍者の申出は断ることはできないし、いつでも障碍者と関わるためにどうすればいいか考えておくことが求められている。
    更に、障害を理由として、正当な理由なく、サービスの提供を拒否したり、制限したり、条件を付けたりするような行為を禁止行為と定めて国民が障害者との共生を実践することが求められている。

まとめ Edit


今政府は障害者政策を医学的モデル(障害はその人に機能的に欠如した部分がある)から社会モデル(社会の意識や環境整備によって障害は大きくなったり小さくあるいは解消される)に転換しようとしている。
障害者差別解消法では、障害者は従来の障害者の手帳を持っている人に加えて、様々な状況で社会参加が難しくなっている人に拡大している。
そして、誰も取り残さない共生社会を目指している。
できるときにできる範囲でお互いに助け合う社会の実現が、私達一人ずつの少しの力を持ち寄って可能になることを知っておきたい。


参考:内閣府 合理的配慮の提供等事例集


関連:公益財団法人交通エコロジー・モビリティ財団 バリアフリー推進部 交通における差別事例と配慮事例に関するアンケート東京都聴覚障碍者連盟東京都盲人福祉協会


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